アメリカ・シリコンバレーを中心に増加するスタートアップ。近年は日本でもスタートアップが広がっており、日本の経済・産業を牽引する存在となっています。 そんなスタートアップでは急速な企業成長に伴い、事業立ち上げ・成長だけでなく採用にも注力することの重要性は日々高まります。 しかし、昨今は有効求人倍率の上昇などにより、スタートアップが自社に最適な人材を獲得するハードルは高まっています。スタートアップの採用も難しい状況において、どのような施策が必要なのでしょうか。 また、リソースが限られたスタートアップがとるべき採用戦略はどのようなものでしょうか。 本記事では、スタートアップの採用が難しい理由や、採用成功のための戦略、スタートアップが活用すべき採用手法などを徹底解説します。スタートアップの採用担当者で「採用が難しい」と感じている方はぜひご覧ください。 この記事でわかることスタートアップの採用が難しい理由3選スタートアップの採用を成功させる戦略スタートアップの採用基準・求める人材スタートアップの採用で陥る失敗スタートアップの採用を成功させるポイント3選スタートアップの採用担当者に必要なスキルスタートアップが活用すべき採用手法 [/st-mybox] スタートアップの採用が難しい理由3選スタートアップの採用は大手企業と比べて難しいと言われていますが、なぜ難しいのでしょうか。 スタートアップの採用が難しい理由は、3つ挙げられます。 【スタートアップの採用が難しい理由】即戦力の人材獲得は競争が激しい自社の採用担当者の確保が難しい待遇や労働時間にマイナスイメージ順に解説していきます。 採用難の理由1:即戦力の人材獲得は競争が激しいスタートアップの採用において、採用企業は即戦力になる人材を必要としています。 しかし実績やスキルのある人材はどの企業も求めており、競争率が高い傾向にあるため、採用が難しいのです。 採用難の理由2:自社の採用担当者の確保が難しいスタートアップの採用活動は、自社の採用担当者が確立していない状態で実施しなければならない場合もあります。 工程不足や基準が定まっていない状態での選考となるので、採用ミスマッチが起こるリスクも高くなるでしょう。 また、採用イベントの企画・開催などに活用できるリソースが少ないため、大手企業と比べて候補者に自社をPRする機会が少なく、採用が難しいといえます。 採用難の理由3:待遇や労働時間にマイナスイメージ立ち上がったばかりのスタートアップやベンチャー企業の多くは、社内の規定が明確に決まっていません。 待遇や労働時間が定まっておらず「最初のうちは無理をさせられるのではないか」とマイナスのイメージを持ってしまう可能性は高いといえます。 スタートアップの採用を成功させる戦略【採用フローごとに解説】スタートアップの採用を成功させるには、採用フローごとに戦略を立てておかなければなりません。 ここでは採用フローごとの採用戦略について、解説します。 【スタートアップの採用戦略|選考フローごと】採用フロー1:母集団形成採用フロー2:面接段階採用フロー3:内定段階 採用フロー1:母集団形成まずは母集団形成を優先的に行い、企業自体の認知度を上げる必要があります。 採用企業の認知度を上げる方法としては、採用ページのコンテンツや自社のホームページ、SNSなどの運用を充実させることなどが効果的です。 またスカウトメールを送信し、多くの候補者にアプローチをかけておく方法もおすすめします。 ただ、スタートアップ初期は採用活動に割けるリソースが限られているため、適切な採用媒体の選定や各種媒体の効果的な運用が重要です。 採用フロー2:面接段階面接段階では、採用活動におけるCXを重視した戦略を立てておくべきです。 採用活動におけるCXとは、候補者体験(Candidate Experience)のことであり、候補者が採用企業を認知してから採用されるまでのすべての体験を指します。現在の転職市場では、候補者の数よりも求人数が多くなっており、候補者は複数社の面接を並行して受けている可能性があります。 そのため、面接時だけでなく、メールでの選考案内や面接前後の振る舞いなど、候補者を採用するまでのすべてのフェーズで良い印象を持ってもらえるよう採用に臨みましょう。 採用フロー3:内定段階内定段階においては、内定承諾率を上げるための工夫を心がけるべきです。 自社の魅力を十分伝えられているか、自社のビジョンと候補者の価値観がマッチしているかなどをよく確認しておきましょう。 またスタートアップ・ベンチャー企業は認知度が低く、会社が成長するまでに時間がかかります。 タフな精神力や自己研鑽に対する意識を持っているかチェックすることで、入社後の早期退職防止にも効果的です。 スタートアップの採用基準・求める人材3選スタートアップの採用基準は、以下の3つのポイントを重視するべきでしょう。 【スタートアップの採用基準・求める人材】成長志向意思決定が早く自走できるミッション・ビジョンへの共感 順に解説していきます。 採用基準1:成長志向スタートアップ・ベンチャー企業にとって重要な人材は、自分自身のスキルアップや自社の成長のために自己研鑽ができる人です。 スタートアップの場合、会社の成長はもちろんですが一人ひとりの社員の成長も求められます。理想とする目標と現状のギャップを把握し、足りないスキルのために自己と向き合い続けられる人材はスタートアップに馴染みやすく、活躍できます。 採用基準2:意思決定が早く自走できる成功例や実績の少ないベンチャー企業では、自分で判断し行動できる人材が必要です。 また、激しく変化する市場において、競合他社に遅れを取らないようにするためには、早いスピードで意思決定できることは不可欠です。 候補者の面接時には、過去に意思決定したエピソードや変化に柔軟に対応した経験などを質問すると良いでしょう。 採用基準3:ミッション・ビジョンへの共感スキルや実力を十分持っている人材でも、採用企業のミッションやビジョンへ共感していなければスタートアップの採用においては不十分です。 スタートアップの環境では、少人数かつ日々トライ&エラーが多いことから、決して楽な労働環境ではありません。また、先述したとおりスタートアップの市場環境は変化が激しいことから、柔軟な対応力が求められます。 そのような厳しい状況下でも、採用企業のミッション・ビジョンに共感していれば、課題や困難を乗り越える原動力になります。 スタートアップの採用において「同じ方向を向いて、一緒に成長していけるか」というポイントは非常に大切だといえます。 スタートアップの採用で陥る失敗3選スタートアップの採用において、以下のような失敗に陥るケースが多くあります。 【スタートアップの採用で陥る失敗】採用基準が高すぎる入社後にカルチャーフィットしない期待していたスキルとギャップがある順に解説していきます。 採用の失敗1:採用基準が高すぎるスタートアップ企業は社内のリソースが限られており、採用後の教育コストがかけられないことから、即戦力の人材を求める傾向があります。 したがって採用基準のハードルも非常に高くなってしまい、条件に合う人がなかなか見つからないケースは少なくありません。 スタートアップの採用担当者はスキルや実績だけでなく、ミッション・ビジョンへの共感やカルチャーフィットの観点からの採用判断も検討することで、採用が上手くいく可能性もあります。 採用の失敗2:入社後にカルチャーフィットしない十分な能力やスキルを持っていても、社内の雰囲気や価値観に合わなければ早期離職してしまう場合も多くあります。 スタートアップでは、少人数かつ変化が激しい市場環境に対応しなければなりません。そのような過酷な状況下でも、ミッション・ビジョンへの共感やカルチャーフィットしていれば、踏みとどまることができます。 カルチャーフィットを見極める手段としては、業務体験などの機会を設けることが有効です。 採用の失敗3:期待していたスキルとギャップがあるスタートアップの採用では、書類や面接時に期待していたスキルと採用後にギャップがあるケースも少なくありません。 どの採用企業でも起こりうることですが、とくに即戦力のある人材を求めているスタートアップの採用においては致命的な失敗といえます。 スタートアップの採用を成功させるポイント3選スタートアップの採用を成功させるには、以下のポイントを重視しましょう。 【スタートアップの採用を成功させるポイント】経営者がSNS等で積極的に発信する採用基準を明確に定めるストックオプションを活用する順に解説していきます。 採用成功ポイント1:経営者がSNS等で積極的に発信する経営者自身がSNSなどを使って、自社の魅力や将来性を積極的に発信する方法は効果的だといえます。 ビジョンや創業した経営者の考えが明確に伝われば、それに共感して一緒に働きたいと思う候補者が出てくる可能性があるからです。 採用成功ポイント2:採用基準を明確に定めるスタートアップの採用においては、採用基準を明確に決めておくべきです。 これにより、採用のミスマッチを減らせるだけでなく、社内リソースが限られたスタートアップの採用活動を効率的に進めることができます。 採用成功ポイント3:ストックオプションを活用するスタートアップの採用では、ストックオプションを活用する方法も効果的だといえます。 ストックオプションとは、あらかじめ決められた行使価格で株式を取得できる権利のことです。 スタートアップの待遇は不安定であるため、候補者にマイナスイメージですが、ストックオプションを活用することで、待遇面の課題を解消することもできるでしょう。 スタートアップの採用担当者に必要なスキル3選スタートアップの採用担当者は、以下のようなスキルを求められます。 【スタートアップの採用担当者に必要なスキル】社内リソースの調整力他者への洞察力マーケティング志向や営業経験順に解説していきます。 採用担当者のスキル1:社内リソースの調整力スタートアップの採用担当者には、社内リソースの調整力が求められます。 スタートアップが採用に活用できるヒト・モノ・カネは限られているためです。 また、スタートアップの採用は社員一丸となって自社の魅力を伝えることが重要です。そのような場合に、採用担当以外も巻き込むことができる調整力が必要になるでしょう。 採用担当者のスキル2:他者への洞察力スタートアップの採用担当者には、候補者の性格やスキルを判断する洞察力が必要です。 スタートアップの採用リソースは貴重であるため、数少ない採用活動で自社に必要な人材を見極められる洞察力が求められます。 採用担当者のスキル3:マーケティング志向や営業経験スタートアップの採用担当者には、マーケティング志向や営業経験があった方が良いでしょう。 採用活動では、自社の情報を適した媒体選定や候補者に自社の魅力を的確に伝える必要があるためです。 スタートアップが活用すべき採用手法5選 スタートアップが活用するべき採用手法は5つ挙げられます。 【スタートアップが活用すべき採用手法】リファラル採用採用広報ダイレクトリクルーティング人材紹介エージェント求人広告 順に解説していきます。 採用手法1:リファラル採用リファラル採用は、自社の社員に候補者を紹介してもらう方法です。 コストが削減できるだけでなく、採用のミスマッチを削減できる効果も期待できます。 ただし、社員が自社に必要な人材について十分理解しておく必要はあるでしょう。 リファラル採用に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。リファラル採用のトラブル・失敗を防ぐ!リファラル採用成功のポイントとは採用手法2:採用広報自社サイトやSNSで採用に関する発信を行い、自社が求める人材からの応募を促す採用広報も効果的です。 近年、候補者はさまざまな手段で採用企業の情報を集めるため、企業自らが自社の魅力を発信する重要性は高まっています。 また、説明会や面接では伝えきれない自社の魅力や雰囲気を発信することにより、採用のミスマッチを減らすことができるでしょう。 採用手法3:ダイレクトリクルーティング企業自らが候補者に直接アプローチするダイレクトリクルーティングもおすすめの採用手法です。 採用にかけるリソースが限られているスタートアップにおいて、ターゲットを絞ることができるダイレクトリクルーティングは効率的であるためです。 また、ダイレクトリクルーティングでは転職顕在層だけでなく、転職潜在層にもアプローチできます。LinkedInの調査では、転職潜在層の8割以上が「企業から良い話があれば転職を検討する」と回答しており、有効な採用手法だといえるでしょう。 ダイレクトリクルーティングでは、スカウトなどを送って面接を実施する流れが多いですが、候補者が選考に臨むハードルを下げるため、カジュアル面談から始めるのもおすすめです。 参考:転職市場にいない人材の採用:今どきの採用担当者は転職潜在層にもアプローチ | 人事を変える集合知コミュニティHR-AGORA 採用手法4:人材紹介エージェントスタートアップは採用活動に人的リソースを多く割けないため、人材紹介エージェントを活用するのもおすすめです。 スタートアップの採用では待遇面などで不利になりがちのため、人材紹介エージェントに依頼する際には自社の魅力や求める人材などを明確に伝えるようにしましょう。 採用手法5:求人広告転職サイトに求人広告を掲載し、候補者からの応募を待つ求人広告も、スタートアップにおすすめです。 求人広告を出稿する際には、以下の点に気をつけると良いでしょう。クリエイティブが目を引くデザインか自社の魅力が伝わりやすいか媒体のユーザー層が自社の採用ターゲットとマッチしているか スタートアップの採用が難しい理由と採用戦略まとめ本記事では、スタートアップの採用が難しい理由や採用を成功させるための採用戦略について解説しました。 スタートアップの採用は限られた自社のリソースを有効活用するとともに、適切な採用戦略を取ることが重要です。また、大手企業と比較すると待遇面で劣ってしまうスタートアップでは、ストックオプションなどのスタートアップならではの魅力をアピールすると良いでしょう。 最後に、スタートアップの採用のポイントをまとめます。 【スタートアップの採用のポイントまとめ】自社の採用に適切な採用手法を活用する採用に適したスキルを持った人材を採用担当に起用する待遇面などで劣ってしまう場合はストックオプションを活用する