近年、採用のミスマッチ防止の取り組みとして注目されつつあるリファレンスチェック。 Web面接の定着を背景に、リファレンスチェックが浸透しつつありますが、いつ実施するのがベストでしょうか。ここでは、リファレンスチェック実施のベストタイミングをお伝えするほか、リファレンスチェック後の内定取り消し可否、Q&Aなどを紹介します。リファレンスチェック実施の流れや実施のタイミングを知りたい方はぜひご覧ください。この記事でわかることリファレンスチェックとはリファレンスチェック実施のタイミングは?リファレンスチェック実施にかかる期間は?リファレンスチェック実施の流れリファレンスチェック実施後のタイミングで内定取り消しは可能?リファレンスチェックとはリファレンスチェックは、採用候補者をよく知る人物に人物像やスキルなどを問い合わせる採用調査の一種です。 採用ミスマッチ防止に役立つことから、近年は外資系企業を中心にリファレンスチェック実施企業が増加しています。 こちらの記事では、リファレンスチェックの概要・実施の流れ・企業事例などを詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。リファレンスチェックとは?質問内容・メリット・実施方法を解説!リファレンスチェックと前職調査の違いは?リファレンスチェックと前職調査は、それぞれ採用選考時に行う調査ですが、両者は目的や手法に違いがあります。 リファレンスチェックは、採用候補者をよく知る者から人物像・勤務態度などを問い合わせる調査で、採用企業と採用候補者との相性をみることが目的です。ヒアリング対象は主に採用候補者が指定します。 バックグラウンドチェックといわれる前職調査は、将来、採用企業に不利益を与える人物の採用を未然に防ぐための調査で、スクリーニングが目的です。ヒアリング対象は採用企業が調査会社を経て決定するところに違いがあります。バックグラウンドチェックのメリットや実施方法などは以下の記事で解説しています。バックグラウンドチェック(採用調査・身辺調査)とは?内容や実施方法を解説リファレンスチェックを実施する目的・メリット次に、リファレンスチェックを実施する目的・メリットをみていきます。【リファレンスチェックのメリット】メリット1:採用選考が効率的になるメリット2:採用のミスマッチが防止できるメリット3:採用後の生産性が向上する順に解説していきます。 実施メリット1:採用選考が効率的になるリファレンスチェックを実施することで、採用企業と相性の合わない採用候補者をスクリーニングすることが可能です。 選考の早い段階で行うほど効率性はあがりますが、費用とのバランスや採用候補者の志望度も考慮が必要です。 実施メリット2:採用のミスマッチを防止できるリファレンスチェックは、採用候補者の関係者から客観的な評価を得ることができます。 これにより、面接や応募書類で捉えることができない「本質的な退職理由」「日頃の勤務態度」を把握し、採用のミスマッチを防止することが可能です。 実施メリット3:採用後の生産性が向上するリファレンスチェックによって「仕事の成果を発揮しやすい環境」など、入社後のマネジメントに活用できる情報を得ることができます。 上司や同僚など、複数の関係者から採用候補者とどのように接すればパフォーマンスを発揮できるか、オンボーディングに活かすことも可能です。 リファレンスチェック実施のタイミングはいつ?採用選考効率化の観点では、選考の早い段階が望ましいといえますが、費用の兼ね合いに加え、リファレンスチェックに抵抗ある採用候補者は実施が早すぎると選考離脱されるリスクもあります。 ここでは、リファレンスチェックの実施タイミングとリファレンスチェック後の内定取り消し可否について説明します。 実施タイミング1:最終面接前採用候補者は、現職企業に転職活動を伏せていることが大半であることから、上司や同僚がヒアリング対象となるリファレンスチェックはハードルが高いものです。 選考過程のなかでも、なるべく最終段階で行うことが望ましいといえます。最終面接の前に実施することで、リファレンスチェックの結果をもって面接に臨むことができるメリットがあります。 実施タイミング2:最終面接後(内定通知の前)最終面接後に実施することで、リファレンスチェックの結果を面接に活用することはできません。 しかし、採用候補者としては、内定の可能性が高まった段階でリファレンスチェックを上司や同僚に依頼することができるため、推薦先を決めやすく有益な情報を得やすいでしょう。 リファレンスチェック実施にかかる期間はどのくらい?リファレンスチェックは、オンラインサービスが主流ですが、この場合、平均3日程度が一般的です。 採用企業が対面、または電話で実施する場合、リファレンス先である採用候補者の上司や同僚との日程調整が必要ですが、少なくとも、1〜2週間は要するでしょう。 リファレンスチェック実施の流れ【具体的な実施方法を解説】ここでは、リファレンスチェックの具体的な流れを説明します。【リファレンスチェック実施の流れ】採用候補者への説明・合意を得る採用候補者から推薦者に依頼する推薦者へのリファレンスチェックを実施する順に解説していきます。 実施の流れ1:採用候補者への説明・合意を得る採用候補者に、リファレンスチェック実施説明とともに、合意を得ます。 個人情報保護法上、必ず必要な手続きで、合意を得た旨は、書面の記録が不可欠です。 実施の流れ2:採用候補者から推薦者に依頼する採用候補者から、2人以上の上司や同僚などを推薦者として、リファレンスチェックの依頼をします。 採用候補者の事情で、上司や同僚への依頼が困難な場合、部下や他部署の者、取引先など事情を考慮の上で推薦者の選定を再考します。 実施の流れ3:推薦者へのリファレンスチェックを実施するオンラインサービスの場合、推薦者に依頼のメールを発信することから始めます。 推薦者は、オンラインサービスにログインし、本人確認の上、期限内にリファレンスチェックの回答をします。 電話や対面の場合は、日程調整の上で、予め決めておいた質問に沿って、リファレンスチェックを実施します。 リファレンスチェック実施後のタイミングで内定取り消しはできる?内定は、判例上「就労始期付解約権留保付労働契約」という、制限付きの労働契約が成立するものと確立されています。 これにより、内定取り消しは、労働契約上の「解雇」にあたり、客観的・合理的、かつ社会通念上相当と認められない限り、認められません。このことから、内定取り消しを行うことは極めてハードルが高く、内定後のリファレンスチェックは実施すべきでないといえます。 リファレンスチェックは、必ず内定前に実施することとし、タイミングは最終面接前後にすることをおすすめします。以下の記事では、リファレンスチェックによる内定取り消しについて詳しく説明していますので、参考にしてください。リファレンスチェックで内定取り消しは違法!?関連法を踏まえて解説リファレンスチェックに関するQ&A次に、リファレンスチェックに関するQ&Aを紹介します。 【リファレンスチェックに関するQ&A】質問1:リファレンスチェックを候補者に拒否された場合はどうすれば良いですか?質問2:リファレンスチェックは候補者の情報をどこまで調査できますか?質問3:リファレンスチェックは勝手に実施しても良いですか?順に回答していきます。 Q1. リファレンスチェックを候補者に拒否された場合はどうすれば良いですか?A. 転職を強く引き止められることが想定される場合、上司や同僚にリファレンスチェックを依頼することが困難なケースがあります。 この場合、たとえば部下や異動前の上司・同僚、取引先などが考えられますが、採用候補者が依頼しやすい人選を相談して決めることが良いでしょう。Q2. リファレンスチェックは候補者の情報をどこまで調査できますか?A. リファレンスチェックは、原則、現職企業となりますので、前職・前々職まで実施されることはないと考えられます。 ただし、バックグラウンドチェックを併用しているサービスもあり、バックグラウンドチェックでは経歴チェックとして前職、前々職まで実施されることもあります。Q3. リファレンスチェックは勝手に実施しても良いですか?A. リファレンスチェックは、候補者の許可なく勝手に実施すると違法となります。 個人情報を取り扱うことから、リファレンスチェックは必ず採用候補者から実施する旨の同意が必要です。リファレンスチェックについてもっと学びたいという方は以下の記事をご覧ください。皆様のリファレンスチェックに関する悩みが解決するはずです。リファレンスチェックとは?質問内容・メリット・実施方法を解説!リファレンスチェックサービス10社費用・特徴比較│代行サービスも楽天・SmartHR・PayPayなどリファレンスチェック実施企業の実態とは?【日系企業の導入事例付】リファレンスチェックの実施タイミングと実施の流れまとめ本記事では、リファレンスチェックの内容や実施の流れのほか、実施タイミングやQ&Aを解説しました。 リファレンスチェックの実施タイミングは、効率性や費用対効果のほか、内定取り消しリスクの観点から、最終面接の前後がベストです。 適切な実施タイミングの下、自社に適した方法で実施するとともに、リファレンスチェックを拒否された場合でも適切に対処できるように取り組みましょう。