終身雇用は終焉し、転職が当たり前になった昨今、取り組む企業が増えている離職防止策。 ここでは、統計に見る社員の離職理由とともに、パターン別の離職防止策、企業の取組事例を紹介します。この記事でわかること離職防止対策を実施すべき理由社員のよくある離職理由離職防止につながる対策離職防止対策の企業事例 離職防止対策を実施すべき理由3選【採用企業必見】離職防止対策を実施することで得られるメリットはさまざまですが、ここでは、離職防止対策を実施すべき3つの理由を解説します。 採用企業が離職防止対策を実施すべき理由は以下のとおりです。 【離職防止対策を実施すべき理由】離職を防止すべき理由1:優秀な人材の流出を防ぐことができる離職を防止すべき理由1:優秀な人材の流出を防ぐことができる離職を防止すべき理由3:採用コストを大幅に削減できる順に解説していきます。 離職を防止すべき理由1:優秀な人材の流出を防ぐことができる離職防止対策をしないと、採用企業の評判低下や離職者の続出などにより、優秀な人材の流出も避けることは困難です。 離職防止に取り組むことにより、人材の定着を図ることで、優秀な人材の流出も防ぐことができるでしょう。離職を防止すべき理由2:社員の業務負担を削減できる離職防止対策を講じないと社内にノウハウが蓄積しづらく、技術力や生産性が大きく低下する可能性があります。 社員の定着によって、ノウハウが形成され生産性の向上を図ることができます。 離職を防止すべき理由3:採用コストを大幅に削減できる「新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)」|厚生労働省(PDF資料)」によると、高卒で39.5%、大卒で32.8%と概ね3人に1人が入社後3年以内に離職しています。 この早期離職を防ぐことで人材の定着を図り、離職のたびに中途採用を年中実施するといった事態を回避できるなど、大幅な採用コスト削減を図ることができます。 社員のよくある離職理由とは?「平成30年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省(PDF資料)」によると、男女別に違いはあるものの、「労働条件や給与等の待遇」「職場の人間関係」が上位を占めています。 次いで、「仕事内容のミスマッチ」「能力・資格などを活かせない」といった内容があげられます。 以下、統計に沿った社員のよくある離職理由を紹介します。 【社員のよくある離職理由】離職理由1:仕事内容のミスマッチ離職理由2:人間関係によるストレス離職理由3:労働条件や給与等の待遇に不満がある離職理由4:キャリアアップが見込めない順に解説していきます。離職理由1:仕事内容のミスマッチ入社後、必ずしも希望職種に配属されるわけではなく、任せられた仕事は単調でやりがいを感じることができないといったことがあります。 このまま、今の仕事をやり続けることに、面白みを感じることができないことが離職理由としてあげられます。 離職理由2:人間関係によるストレス近年、人間関係のストレスによる離職が増えていますが、背景には、パワーハラスメントを始めとした各種ハラスメントにあると考えられます。 ハラスメントの根本的な原因は、上司と部下のコミュニケーション不足も大きな一因にあると考えられます。 離職理由3:労働条件や給与等の待遇に不満がある若年層は、休日や働きやすさなどワークライフバランスを重視する傾向があります。 ワークライフバランスに前向きでない企業は、労働条件を理由とした離職は多いと考えられます。 給与等の収入が少なかったという理由は、男性で多い離職理由です。 離職理由4:キャリアアップが見込めない大卒以上の社員は、キャリアを重視する傾向があります。 企業がキャリアプランを示していない、能力開発制度が手薄などの場合、意欲ある優秀人材は離職する可能性が高いでしょう。 社員の離職防止につながる対策【パターン別】離職防止策には、エンゲージメント向上など実施すれば「社員が満足するもの」と、職場環境改善など実施しても不満は解消しますが「社員が満足しないもの」があります。 ここでは、離職防止につながる「社員が満足する対策」と「社員の不満を防止する対策」を項目別に紹介します。 エンゲージメント向上で離職防止につなげるエンゲージメントとは、従業員が企業に対する信頼度といえます。 エンゲージメント向上は、この信頼度を上げるための施策となり、基本的には、「社員が満足する対策」にあたるでしょう。 エンゲージメント向上で離職防止につなげる対策は以下のとおりです。 【エンゲージメント向上で離職防止につなげる対策】離職防止対策1:人事評価制度を見直す100離職防止対策2:定期的に社員の心身の状態をチェックする 順に解説していきます。 離職防止対策1:人事評価制度を見直す人事評価制度の不満要因のトップは、「評価基準が不明確」であることがあげられています。 自社が求める人材像をもとに評価基準を見直し、明確化するともに評価者訓練を実施するなどの対策が考えられます。 離職防止対策2:定期的に社員の心身の状態をチェックするメンタルに関する悩みは、なかなか社員は打ち明けられないものです。 対策として、定期的な社員面談の実施をすることが考えられます。 また、ストレスチェック制度において、メンタルヘルスの項目を増やした「80項目版」もあり、メンタルヘルス対策を強化する企業の活用が進んでいます。 モチベーション向上で離職防止につなげるモチベーション向上によって、優秀な人材の離職防止につなげることができます。 キャリアデザインを支援するなど「社員が満足する対策」にあたります。 モチベーション向上で離職防止につなげる対策は以下のとおりです。 【モチベーション向上で離職防止につなげる対策】離職防止対策3:インセンティブやピアボーナス制度を導入する離職防止対策4:コーチングを導入しキャリアデザインを支援する 離職防止対策3:インセンティブやピアボーナス制度を導入する従業員のやる気の評価をポイントで還元するインセンティブ制度、社員同士で報酬を贈り合うピアボーナス制度などの導入によって、社員のモチベーション向上に寄与するでしょう。 離職防止対策4:コーチングを導入しキャリアデザインを支援する社員は、入社後に意に沿わない職場に配属になることは多々あります。 人材育成のために、多くの企業はジョブローテーションを実施しますが、企業が社員のことを考えてキャリアプランを実行しても、社員に伝わっていなければ、社員は離職する可能性があります。 コーチングの導入によって定期的な人事面談を実施し、社員のキャリアデザインを支援することが考えられます。社内コミュニケーション活性化で離職防止につなげる社内コミュニケーションの活性化は、離職防止において重要な役割となります。 離職者は、周りに相談相手がいなく萎縮することもあるでしょう。 「社員が満足する対策」としてコミュニケーションを活性化することが離職防止の重要なボイントになります。 社内コミュニケーション活性化で離職防止につなげる対策は以下のとおりです。 【社内コミュニケーション活性化で離職防止につなげる対策】離職防止対策5:上司・部下との1on1や社内メンター制度を導入する離職防止対策5:上司・部下との1on1や社内メンター制度を導入する上司・部下の1対1で、高頻度・短時間の定期面談で互いの信頼関係を築く1on1、新たに入社した社員が相談しやすい体制を制度化したメンター制度を導入することで、離職防止につなげることができます。職場環境改善で離職防止につなげる職場環境改善によって、社員の不満を防止することで、離職防止につなげることができます。 「社員の不満を防止する対策」である職場環境改善は、放置すると早期に社員が離職する可能性がありますので、離職防止策のなかでも優先度が高いといえるでしょう。 職場環境改善で離職防止につなげる対策は以下のとおりです。 【職場環境改善で離職防止につなげる対策】離職防止対策6:ハラスメント対策を実施する離職防止対策7:ワークライフバランス支援制度を整える離職防止対策8:介護休暇制度や介護休業制度を整える順に解説していきます。 離職防止対策6:ハラスメント対策を実施するパワーハラスメントをはじめとしたハラスメント対策は、2019年に成立したパワハラ防止法(通称)にて、企業で対策が義務付けされています。 企業は、相談窓口の設置や通報者保護、教育研修などの対応が必要です。 離職防止対策7:ワークライフバランス支援制度を整える若年層は、ワークライフバランスを重視する傾向にあります。 多様な休日の制度や有給休暇取得の推進、自己学習の支援などの制度を整えることが考えられます。 離職防止対策8:介護休暇制度や介護休業制度を整える育児・介護の両立支援として、自社の状況に合わせて、時短制度の延長など法律の枠を超えた制度を検討することも有用です。入社前の対策で離職防止につなげる入社前に実施するリファレンスチェックや構造化面接によって、「社員が満足する対策」とし入社後の離職防止につなげます。 入社前で離職防止につなげる対策は以下のとおりです。 【入社前で離職防止につなげる対策】離職防止対策9:構造化面接を実施する離職防止対策10:リファレンスチェックを実施する順に解説していきます。 離職防止対策9:構造化面接を実施する採用ターゲットを明確にし、予め定めた評価基準と質問によって構造化面接を実施します。採用候補者のパフォーマンスを見極めることで、雇用のミスマッチを防止するのです。 構造化面接について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。構造化面接とは?採用企業が実施するメリット・デメリットや実施方法【質問例も紹介】離職防止対策10:リファレンスチェックを実施するリファレンスチェックは、採用候補者をよく知る上司や同僚から、人物像や働きぶりなどをヒアリングします。 採用企業と採用候補者との相性を測ることができるため、雇用のミスマッチ防止に役立てることができます。 リファレンスチェックについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。リファレンスチェックとは?質問内容・メリット・実施方法を解説!離職防止対策の取り組み事例ここまで、社員のよくある離職理由や離職防止につながる対策を解説しました。 以下では、具体的にどのような離職防止対策をしているのか、企業事例をもとに解説します。 今回ご紹介する離職防止対策の企業事例は以下のとおりです。 【離職防止対策の企業事例】離職防止対策の事例1:日清食品ホールディングス株式会社離職防止対策の事例2:サイボウズ株式会社離職防止対策の事例3:株式会社レオパレス21順に解説していきます。 離職防止対策の事例1:日清食品ホールディングス株式会社同社は、突然退職を申し出られる「びっくり退職」を防ぐため、1on1や従業員サーベイを実施しています。 1on1では、制度が形骸化しないよう、人事にて実施状況管理や隔月アンケート調査するなど実効性を高めています。 従業員サーベイでは、入社3年未満の社員を対象に月1回の従業員サーベイを実施し、離職兆候をキャッチアッブしています。 参考:日清食品ホールディングス株式会社|導入事例|カオナビ【シェアNo.1】社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム離職防止対策の事例2:サイボウズ株式会社同社は、社員の夢をかなえるコンセプトの下、究極のボトムアップといえる「従業員が人事制度を設計する」ことを取り入れました。 従業員のワークスタイルを柔軟にすることを目的に、「在宅勤務制度」や成果や生産性を重視する「ウルトラワーク制度」などを導入しています。 参考:離職率改善の秘訣とは?|離職率を大幅に改善した5社の事例紹介離職防止対策の事例3:株式会社レオパレス21同社の属する不動産業界は、離職率が比較的高いですが、同社は2010年に過去最低の離職率を記録しました。 その対策の一環として、長時間労働是正のほか、営業力強化研修・管理職研修など専門の外部研修の取り入れることで、アンケートで要望が高かった教育に対する欲求を充足したのです。 参考:離職率を下げるには?大幅改善に成功した企業の事例から対策を考える 社員の離職理由と離職防止につながる対策まとめ新入社員のうち3人に1人は、3年以内に離職する昨今、労働人口減少のなか離職防止対策は、極めて重要な課題です。 離職防止対策をせずに放置していると、短期的には採用コストや業務量の負担、優秀な人材の流出、長期的には企業の成長力の低下など経営にも大きなダメージが生じる可能性があります。 離職防止対策は、緊急度が高い職場環境などの「社員の不満を防止する対策」を優先します。 その上で、モチベーション・エンゲージント向上施策などの「社員が満足する対策」を実施することがポイントです。 入社前に実施するリファレンスチェックを実施することで、雇用のミスマッチを防止し、離職防止につなげることができますので、自社の状況に合わせて検討しましょう。 【編集部おすすめ!】リファレンスチェックサービス「HERP Trust」「HERP Trust (旧Parame Recruit)」は経済産業省・JETROから優秀事業として認定されたリファレンスチェックツール(オンライン型)です。 質問のテンプレート・推薦者の本人認証など、リファレンスチェックに必要な機能がすべて揃っており、価格もお手頃。 初めての方でも安心な導入サポート体制があるので、1度試したい方にはおすすめです! 資料請求はこちら