採用企業であれば雇用前に見抜いておきたい経歴詐称・詐欺ですが「どこまでが経歴詐称?」「経歴詐称・詐欺の見抜き方・対処法は?」と疑問に思っている方も多いでしょう。 求職者の場合は「経歴詐称・詐欺はどこまでバレる?」と気になっている方もいらっしゃるかもしれません。経歴詐称・詐欺が発覚した場合は解雇や内定取り消しができる可能性もあるため、採用担当者は経歴詐称・詐欺の内容や見抜き方を知っておくことが重要です。 そこで本記事では、経歴詐称の具体的な内容や具体例、見抜き方などを解説します。この記事でわかること経歴詐称とは経歴詐称・詐欺の具体的な内容経歴詐称・詐欺の具体例経歴詐称の見抜き方経歴詐称で解雇や内定取り消しは可能かどうか 経歴詐称とは経歴詐称とは履歴書に事実と違う経歴や実績を記載したり、面接の際に虚偽の申告をしたりすることです。 経歴詐称の例は以下のとおりです。 【経歴詐称の例】入学していない大学の名前を書いた5年しか働いていない会社を8年働いたことにしたTOEICの点数を20点上乗せした他の人が担当したプロジェクトを自分が担当したように主張したこれらが挙げられます。 採用候補者は採用に有利になりたいという気持ちから、このような嘘をついてしまうことがあります。 もし経歴詐称をしている採用候補者を雇用してしまうと、さまざまなリスクを背負うことになります。採用企業は経歴詐称の可能性を疑い、採用候補者からの情報を鵜呑みにしないことが重要です。 経歴詐称・詐欺の具体的な内容7選|どこまで調べられる?採用企業に重大な不利益が生じることもある経歴詐称や詐欺。 採用候補者による経歴詐称・詐欺を見抜くには、具体例や調査範囲を知っておく必要があります。 ここでは、経歴詐称・詐欺の具体的な内容7選を紹介します。 【経歴詐称・詐欺の具体的な内容7選】学歴の経歴詐称・詐欺職歴の経歴詐称・詐欺免許・資格の経歴詐称・詐欺実績・スキルの経歴詐称・詐欺年収の経歴詐称・詐欺犯罪歴の経歴詐称・詐欺病歴に関する経歴詐称・詐欺順に解説していきます。 内容1:学歴の経歴詐称・詐欺学歴の経歴詐称・詐欺は、実際の学歴よりも高く見せるものが大半です。 高卒を大卒と偽る、レベルの高い学校を卒業したと偽るなどです。 稀ですが、応募条件などを背景に、大卒を高卒と見せるように、学歴を低く偽ることもあります。 内容2:職歴の経歴詐称・詐欺職歴の経歴詐称・詐欺は、選考に有利な職歴に詐称したり、不利な職歴や空白期間を隠蔽することが多くあります。 たとえば、高度な経験をしているかのように職歴を盛る、あるいは偽るなどのほか、空白期間やアルバイト期間を前後の職歴に含めたりなどです。 契約社員など非正規であるにもかかわらず、正社員と偽ることもあります。 内容3:免許・資格の経歴詐称・詐欺免許・資格の経歴詐称・詐欺は、必須要件とされている免許・資格を保有していると詐称したり、自分をよく見せようと高度な免許・資格を保有していると偽ることがあります。 更新が必要な免許・資格を何らかの理由で、更新できていないケースもあるでしょう。 内容4:実績・スキルの経歴詐称・詐欺実績・スキルの経歴詐称・詐欺は、高度なスキルを求められるポジションで、職務経歴書や面接において実績やスキルを高く盛る、あるいは偽るケースがあります。 具体的には、プロジェクトでリーダーだったと偽る、全く経験していない職務経験を実績としているなどです。 経歴詐称・詐欺の度合いは、軽いものから重大なものまで多岐にわたりますが、プロジェクトリーダーであったというような軽微な経歴詐称・詐欺は、見抜くことが困難なケースがあります。 全く経験のない職歴を偽っていた場合は、採用後に重大な影響を及ぼす可能性が高いでしょう。 内容5:年収の経歴詐称・詐欺年収の経歴詐称・詐欺は、転職後に高い報酬を得るために、年収を高く偽ることが多くあります。 年収には、残業など超過勤務手当も含みますので、採用候補者は多少盛ってもバレないという心理が働くこともあると考えられます。 内容6:犯罪歴の経歴詐称・詐欺犯罪歴の経歴詐称・詐欺は、選考に不利にならないように採用候補者が犯罪歴を隠蔽することがあります。 履歴書に賞罰欄がない、あるいは聞かれなければ申告する必要もなく、管理体制がなければ見落としやすい項目です。 内容7:病歴に関する経歴詐称・詐欺病歴に関する経歴詐称・詐欺は、主にメンタル疾患の病歴がある場合に、偽るケースが多くあります。 自ら申告する必要はなく、病歴を理由に採用選考することは禁じられていることもあり、把握しづらい項目です。 よくある経歴詐称の具体例|こんな時に発覚する学歴や病歴など、さまざまな 項目で偽られることがある経歴詐称や詐欺。 経歴詐称・詐欺を防ぐには、必要十分な管理体制を執ることはもちろん、採用候補者がどのような手口や手段で経歴詐称・詐欺が実施されるかを知っておくことが不可欠です。 ここでは、経歴詐称・詐欺がどのように発覚するかの具体例を説明していきます。 【よくある経歴詐称・詐欺の具体例】例1:前職の試用期間後に本採用拒否された経歴の詐称例2:短期間で転職を繰り返した経歴の詐称例3:過去に前職で懲戒解雇された経歴の詐称順に解説していきます。 例1:前職の試用期間後に本採用拒否された経歴の詐称前職の試用期間後に、本採用拒否された経歴詐称は、法的には解雇と同じ扱いになります。試用期間は、労働者の不適格性を理由とした解約権が留保された労働契約であり、簡単には本採用拒否はできません。 本採用拒否をされた場合、解雇と同様の扱いであることから、経歴詐称か否かは、離職票の提出を求めれば解雇であったか確認することが可能です。 例2:短期間で転職を繰り返した経歴の詐称短期間で転職を繰り返した経歴の詐称の場合、転職回数を少なく見せるために、前後の職歴に勤務期間を通算させるといったケースが多いでしょう。 短期間で転職を繰り返した場合、職歴の間の空白期間には、国民年金の加入が必要です。採用候補者の国民年金の加入歴を調べたときに、経歴詐称が発覚することがあります。 例3:過去に前職で懲戒解雇された経歴の詐称過去に前職で懲戒解雇された経歴の詐称の場合、退職事由を懲戒解雇ではなく、自己都合退職と偽ることが多くあります。 懲戒解雇された者は次の就職先を探すことは極めて困難であり、懲戒解雇された経歴をもつ採用候補者は、事実を隠蔽したがるものです。 個人情報保護の観点から、採用候補者の同意がなければ、前職企業に問い合わせしても答えてもらうことはできません。 ただし、離職票の提出を求めた場合は懲戒解雇か否かの退職事由が明記されているため、経歴詐称が発覚します。 経歴詐称・詐欺の見抜き方7選|バレる理由・要因とは?採用企業に、将来大きな問題を招くリスクがある経歴詐称・詐欺者の採用。経歴詐称・詐欺を見抜くには、管理体制が必要です。 経歴詐称・詐欺の見抜き方には、各種機関や第三者からの証明を取得する方法、採用面接による方法があります。 ここでは、これらの方法による経歴詐称・詐欺の見抜き方7選を紹介します。 【経歴詐称・詐欺の見抜き方7選】見抜き方1:リファレンスチェックを実施する見抜き方2:卒業証明書の提出を求める見抜き方3:雇用保険被保険者証の職歴を確認する見抜き方4:退職証明書を確認する見抜き方5:源泉徴収票を確認する見抜き方6:年金手帳の加入歴を確認する見抜き方7:採用面接で経歴詐称を見抜く順に解説していきます。 見抜き方1:リファレンスチェックを実施するリファレンスチェックとは、上司や同僚など採用候補者をよく知る者から、人物像や特性、経歴など問い合わせする調査です。 履歴書・職務経歴書などの応募書類や採用面接の内容に相違はないか、あるいは見抜けなかった採用候補者の経歴などの確認を実施することも可能です。 リファレンスチェックは、採用候補者の現職、あるいは前職の上司や同僚が対象のため、調査はその範囲に限られます。 一般的なリファレンスチェックの流れは次のとおりです。 【リファレンスチェックの流れ】採用候補者へ実施の説明と合意採用候補者から推薦者へ依頼リファレンスチェックの実施 リファレンスチェックを実施するには、個人情報上、採用候補者に実施同意を取得することが必要です。 リファレンス先として、採用候補者の上司や同僚など複数に依頼します。しかし、転職活動を伏せていることが大半のため、採用候補者の事情に合わせて、リファレンス先を調整することもポイントです。 リファレンスチェックを実施する際には、リファレンス先の本人確認がセキュアに実施でき、迅速な対応ができるオンラインサービスが主流でしょう。 以下の記事では、リファレンスチェックのメリットや実施方法などを詳しく説明していますので、参考にしてください。 リファレンスチェックとは?質問内容・メリット・実施方法を解説!見抜き方2:卒業証明書の提出を求める新卒採用では卒業証明書を求めますが、中途採用では、通常、卒業証明書を求めないことが一般的です。そのため、とくに採用候補者は中途採用の選考で学歴を偽るケースがあります。 新卒採用はもちろん、中途採用の選考においても、卒業証明書の提出を求めます。改ざん防止のため「厳封」してもらうことも有効です。 見抜き方3:雇用保険被保険者証の職歴を確認する採用候補者の入社手続きでは、本来「被保険者番号」を確認するために、雇用保険被保険者証の提出を求めます。 そのため、被保険者番号が確認できれば良く、前職名が記載されている「雇用保険被保険者資格等確認通知書」が雇用保険被保険者証と一体になっていても、採用候補者は切り離して提出することが一般的です。 雇用保険被保険者証で前職の経歴確認をする場合は、「雇用保険被保険者資格等確認通知書」の写しを貰い受けることが必要となります。 見抜き方4:退職証明書を確認する採用候補者が既に退職している企業の経歴については、退職証明書を求めることで経歴詐称を見抜くことが可能です。 退職証明書は、労働基準法上、労働者の請求に基づき、会社が発行しなければなりません。そのため、採用候補者から企業に依頼すれば必ず取得できる書類であり、提出ができない場合は、経歴詐称、あるいは企業の労働基準法違反の可能性があります。 見抜き方5:源泉徴収票を確認する源泉徴収票は、採用企業で年末調整をする際、前職の所得や社会保険料控除を通算して実施する必要があるため、入社時に採用候補者から提出を求めるものです。 そのため、年末に退職する以外は、源泉徴収票を採用企業に提出することが基本です。何らかの理由をつけて提出を拒む場合、経歴や年収を偽るなどの詐称の可能性があります。 見抜き方6:年金手帳の加入歴を確認する採用企業は、基礎年金番号を確認することを目的に、入社手続きの一連として、年金手帳の提出を求めます。 年金手帳にはいままでの年金加入記録が記載されているため、提出を拒む、あるいは基礎年金番号の該当部分のみのコピーを提出するなどの場合、経歴詐称をしている可能性があります。 なお、年金手帳は再発行するといままでの加入記録は表示されないため、故意に紛失したとして再発行するケースもあります。 再発行した理由が合理的でない場合は、他の手段で経歴詐称を確認することが必要でしょう。 見抜き方7:採用面接で経歴詐称を見抜く採用候補者から提出された履歴書・職務経歴書には、経歴を高く盛る、あるいは全く経験していないことを実績があるように偽ることもあります。 このような経歴詐称は、採用面接で深掘りすることで見抜くことが可能です。 深掘り質問で経歴詐称を見抜くには、「5W1Hを明確にする」「なぜを繰り返して質問する」「知っているであろう専門用語で問う」などによって質問することです。 経歴詐称がある場合、回答が矛盾する、考え方が一貫していないなどボロが出るものですが、とくに怪しい経歴は深掘りすることが重要です。 採用面接では、採用候補者は、採用企業の質問に誠実に回答する義務がありますので、重要な経歴については、質問をして回答義務を負わせることもポイントになります。 書類選考とは違う切り口で質問する履歴書・職務経歴書に経歴詐称がある場合、採用候補者は記載した虚偽の経歴に沿って、回答をするでしょう。 履歴書や職務経歴書の内容をストレートに質問しても、用意した内容で回答されてしまうため、書類とは違う切り口で質問することが有効です。 業務の遂行に経歴が重要であることを説明する仮に、採用候補者の経歴詐称が発覚した場合でも、重大な経歴詐称でない限り、何らかの処分をすることが困難な場合があります。 業務遂行に経歴が重要であることをしっかり説明した上で、深掘り質問することで採用候補者に回答義務を負わせることがポイントです。 経歴詐称で懲戒解雇はできる?できない?企業秩序を大きく乱す可能性のある経歴詐称者の在籍問題。経歴詐称が発覚したら、すぐに解雇を思い浮かべるものですが、日本の法律では、簡単には解雇できません。 ここでは、経歴詐称における解雇について解説します。 そもそも「普通解雇」「懲戒解雇」の2種類がある企業経営が立ち行かなくなった場合の「整理解雇」を除き、通常、労働者を解雇するときの選択肢としては、「普通解雇」と「懲戒解雇」の2種類があります。 ここでは、普通解雇と懲戒解雇の2種類の内容を説明します。 普通解雇とは普通解雇は「懲戒解雇」と「整理解雇」を除く解雇の総称です。 主に「能力不足」「病気による労務不能」「協調性の欠如」など、労働者が労働義務を果たすことが困難となった場合に実施される解雇になります。 普通解雇を実施するには、次の要件を満たすことが必要です。 【普通解雇を実施する要件】就業規則に解雇事由の定めがあること解雇予告、あるいは解雇予告手当を支払うこと法令における解雇制限を遵守すること解雇権濫用にあたらないこと普通解雇は、客観的・合理的、かつ社会通念上、相当であることが認められる場合に限り認められるものです。 懲戒解雇とは懲戒解雇は、企業秩序を著しく乱した場合に実施されるペナルティとしての解雇で、企業において一番重い処分です。 懲戒解雇は、労働者の次の就労は極めて困難であるように、人生を大きく左右する重いペナルティです。 懲戒解雇は、次の要件を満たすことが必要です。【懲戒解雇を実施する要件】就業規則に懲戒解雇事由の定めがあること法令における解雇制限を遵守すること解雇権濫用にあたらないこと懲戒解雇は、解雇前に労働者に弁明の機会を与え、確証をもって処分を決定します。二重処罰禁止や平等待遇の原則など、一定の判断基準の下で処分決定をする必要があります。 解雇無効とならないよう、必ず顧問弁護士などと相談の上で、決定することをおすすめします。 経歴詐称で懲戒解雇できる場合とは採用候補者の入社後に経歴詐称が発覚しても、必ずしも懲戒解雇ができるとは限りません。 懲戒解雇が認められる経歴詐称は、学歴や犯罪歴、職務経歴などを偽り、その事実を知っていたなら採用しなかったであろう「重大な経歴詐称」をしていた場合です。 重大な経歴の詐称は懲戒事由に当たる判例上、経歴詐称が懲戒事由にあたるとされる対象は「学歴」「犯罪歴」「職歴」などの重大な経歴詐称に限られると考えられています。 就業規則に懲戒事由が定められていることを前提に、処分前に労働者に弁明の機会を与えます。 その上で、経歴詐称が業務に与える影響度や労働者の勤務態度、経歴詐称の動機などを総合的に考慮し、就業規則に基づき処分を決定します。 経歴詐称で内定取り消しは可能? 結論から言うと、経歴詐称をしているからといって、必ずしも内定取り消しができるとは限りません。 濫用的解雇を無効とする労働契約法16条により、「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるもの」に限られています。 以上から経歴詐称による内定取り消し時には、慎重な判断と迅速に取り消し通知を送ることをおすすめします。 経歴詐称で懲戒解雇できない場合の対処法は?ここまで説明してきたように、経歴詐称による懲戒解雇は重大なものに限られ、あらゆる原則や判例に基づき決定するものです。 極めてハードルが高く、経歴詐称があったとしても懲戒解雇を見送ることがあるでしょう。 ここでは、懲戒解雇ができない場合の対処法を説明していきます。 【懲戒解雇できない場合の対処法】対処法1:経歴詐称を社内に公表するか否か決める対処法2:給与を下げるか否か決める順に解説していきます。 対処法1:経歴詐称を社内に公表するか否か決める経歴詐称者を懲戒処分することなく雇用し続ける場合、企業秩序を保つうえで何らかの対処をする必要があるでしょう。 企業秩序維持の観点から、問題行動の「事例」を知らしめる有用性はあるものの、問題行動を起こした「人物」を特定することはプライバシーの観点から望ましくない側面があります。 懲戒処分となった者の氏名公表においても、プライバシー保護の観点から労働者から訴えられるケースがありますので、懲戒処分にもなっていない者の氏名公表は控えるべきでしょう。 対処法2:給与を下げるか否か決める給与を下げることは、懲戒処分の対象となるため、就業規則の懲戒処分事項に定められている必要があります。 基本的には、経歴詐称が減給や降格などの対象として、明記されている必要があります。 減給や降格事由に定められていないものの、懲戒解雇事由に「重大な経歴詐称」と定められている場合、懲戒解雇の定めを準用し、減給や降格に留める処分とするケースもあります。 懲戒処分は、労働者に弁明の機会を与えて処分決定をするものですが、労働基準法に定める減給制裁の範囲を超えて減給すると違法となることに留意が必要です。 経歴詐称・詐欺が発覚・バレたらどうなる?解雇だけじゃない?!【候補者向け】経歴詐称・詐欺がバレたら、解雇になる可能性があるほか「罪に問われる可能性」「解雇・損害賠償につながる可能性」があります。 ここでは、これらの解説とともに「経歴詐称を正直に話す必要があるか」「許容できる経歴詐称の取り扱い」について説明していきます。 罪に問われる可能性がある学歴や職歴などの経歴詐称自体は犯罪にはあたりませんが、内容によっては、罪にあたることもあります。 たとえば、卒業証明書や免許証などを偽装した場合、あるいは弁護士などの高度な資格を偽造して報酬を受けた場合など、刑事責任を問われる可能性があります。 経歴詐称によって企業に不利益が生じたといった場合にも、罪に問われることもあるでしょう。 解雇・損害賠償につながる可能性がある刑事責任を問われなくても、解雇や損害賠償請求がなされるなど、民事責任を問われることもあります。 就業規則の懲戒処分事項に、経歴詐称の項目があった場合、懲戒処分の対象になります。 懲戒解雇の要件としている場合は、「重大な経歴詐称」とされていることが一般的です。 申告された経歴とかけ離れた能力で、企業に損害が生じた場合は、損害賠償請求がなされる可能性もあります。 経歴詐称について候補者が正直に話す必要はない?採用候補者は、自ら経歴詐称について正直に話す必要はありません。 ただし、履歴書に賞罰欄がある場合は前科の告知義務があるほか、面接で職歴や犯罪歴などを聞かれた場合には告知義務が生じます。 このように、聞かれもしないのに自ら話す必要はありませんが、聞かれたら答える義務が生じるのです。 聞かれた内容を偽った場合、罪に問われる可能性があることにも留意が必要です。 許容できる経歴詐称の場合は解雇しない経歴詐称は、重大なものでない限り、懲戒解雇処分をすることは認められていません。そのため、たとえ、経歴詐称者と企業の間で信頼関係が崩壊して解雇したくても、できない場合もあるでしょう。 他方、経歴詐称が発覚しても程度が軽く、職務態度が勤勉であるなど、許容できる経歴詐称の場合は、解雇しないこともあります。 経歴詐称者を入社させる注意点|人事・採用担当者必見許容できる範囲の経歴詐称、あるいは解雇したくても出来なかった経歴詐称が内定後に発覚した場合、労働契約が成立していることから、経歴詐称者を入社させることもあるでしょう。 ここでは、経歴詐称者を入社させる場合の注意点を説明します。 【経歴詐称者を入社させる注意点】注意点1:社内の秩序が乱れる注意点2:コンプライアンスの観点でも問題注意点3:取引時の信用問題に発展する可能性がある順に解説していきます。 注意点1:社内の秩序が乱れる経歴詐称者を許容する、あるいは、やむを得ず雇用し続けなければならない場合、社内の秩序を保てないことがあります。 会社が経歴詐称を容認していると思われてしまう、あるいは経歴詐称者と仕事をすることに抵抗がある者もいるでしょう。 雇用し続ける場合、社内秩序を保つには、懲戒処分が困難であっても、厳重注意や人事異動など何らかの制裁を加えることが必要と考えられます。 注意点2:コンプライアンスの観点でも問題経歴詐称者を雇用し続けることで、企業秩序が保てなくなるほか、コンプライアンスの観点でも問題が生じることがあります。 経歴詐称を容認していることが明らかになると、経歴詐称が容認される会社と誤解されることが考えられます。 このような誤解を避けるためには、何かしらの制裁は必要であるとともに、コンプライアンス教育をすることが求められます。 注意点3:取引時の信用問題に発展する可能性がある経歴詐称者を雇い続けていることが公になってしまった場合、取引時の信用問題に発展する可能性があります。 とくに、取引に関わる者の経歴詐称であれば尚更です。 信用問題に発展しないよう、直接顧客に関係のない部署に異動させることが賢明でしょう。 経歴詐称や経歴詐称の対処法についてもっと学びたいという方は以下の記事をご覧ください。皆様の経歴詐称に関する悩みが解決するはずです。経歴詐称で解雇・内定取り消しはできる?経歴詐称への対応方法4選経歴詐称をするSES企業・IT派遣会社の特徴4選|エンジニア派遣やフリーランスも要注意 経歴詐称の見抜き方まとめ|こんな時に経歴詐称はバレる本記事では、経歴詐称・詐欺の種類・内容や具体例、求職者・社員の経歴詐称が発覚する見抜き方などを解説しました。 社員の経歴詐称・詐欺を放っておくと取引先とのトラブルや自社に損害を与えかねないなど、深刻な問題に発展する可能性もあります。 そのような事態を避けるためにも、経歴詐称・詐欺の内容や見抜き方を理解し、経歴詐称・詐欺の防止・対処に努めるようにしましょう。 最後に、本記事の内容をまとめます。 【経歴詐称に関するまとめ】経歴詐称とは、労働契約を締結する際に労働者が使用者に対して学歴や職歴、犯罪歴、年齢などに関して隠蔽・虚偽の申告をすること経歴詐称を見抜く方法としては、採用調査・書類提出の工夫・面接での深堀りなどがある重大な経歴詐称の場合は解雇や罪に問われる可能性もある