「学歴詐称がバレる・発覚する原因は?」「学歴詐称の調べ方は?」 このような疑問を抱えていませんか? 実際、中途採用をしている採用企業の中には「候補者が学歴詐称をしていないか不安」「学歴詐称発覚時の対応に悩んでいる」などといった悩みも少なくありません。 このような学歴詐称を防ぐためには、学歴詐称の種類や学歴詐称の調べ方を理解しておくことが重要です。 そこで本記事では、学歴詐称の種類や学歴詐称の調べ方、学歴詐称が発覚した場合の対処法などを解説します!この記事でわかること学歴詐称とは学歴詐称の具体例学歴詐称を防ぐ方法学歴詐称が発覚した場合の対処法 学歴詐称とは学歴詐称とは、採用企業や第三者に対して事実でない学歴を表明することです。 高卒を大卒、あるいはレベルの高い大学に偽るなど、実際の学歴より高く偽ることが一般的です。しかし、大卒を高卒と低く偽る「逆経歴詐称」も実例があります。 学歴詐称は、高く偽るか低く偽るかに拘らず、自身の学歴を詐称することがすべて当てはまります。なお、経歴詐称の類型では、犯罪歴や職歴に並んで多い詐称です。 学歴詐称のよくある例|履歴書や面接時に要注意学歴詐称は、学歴を高く偽ることが一般的ですが、類型はさまざまです。 ここでは、学歴詐称のよくある例を次のとおり紹介します。 【学歴詐称の具体例】学歴詐称の例1:偏差値が上位の学校に入学・卒業したと偽る学歴詐称の例2:中退なのに卒業と記載する学歴詐称の例3:高卒なのに大卒と偽る学歴詐称の例4:除籍・放校を退学と偽る学歴詐称の例5:聴講生なのに正規課程で入学したことにする学歴詐称の例6:逆学歴詐称順を追って、説明します。 学歴詐称の例1:偏差値が上位の学校に入学・卒業したと偽る学歴詐称の代表的なケースとして、レベルの高い学校に入学・卒業したと偽ることがあげられます。 学歴の区分は、同じ「大卒」であっても、偏差値の高い上位校に偽るというケースです。レベルの高い学校に偽ることで、就活を有利に進めたいという動機が大半です。 とくに、学校のブランドが大きく影響することが想定される求人で詐称されることが多いでしょう。 学歴詐称の例2:中退なのに卒業と記載する入学の経歴は正しくても、卒業していないにも拘らず「卒業」と表明するケースです。 入学した事実は正しいため、候補者は、全く無関係の事実を偽るより、心情的には罪悪感が薄い可能性があります。 この詐称の多いパターンとしては、退学や除籍などの処分の事実を隠蔽するために実施することが考えられます。 学歴詐称の例3:高卒なのに大卒と偽る最終学歴を高卒であるにも拘らず、大卒と偽るようなケースです。上位校に偽るケースと並んで多い学歴詐称の類型です。 学歴を高く見せて、高い報酬を得ようとする、あるいは求人募集の条件として、「大卒以上」というように、比較的高い学歴が条件とされてる場合に、実施されることが多いでしょう。 新卒採用では、空白期間を学校在籍期間と偽る、あるいは年齢を偽るケースもあります。 学歴詐称の例4:除籍・放校を退学と偽る留年上限の抵触など何かしらの理由で、学校から学籍を外される処分を受ける「除籍・放校」は、候補者にとって不都合な事実です。 選考に不利にならないよう、除籍・放校の事実を隠蔽し、自らの意思で学校を辞めることも指す「退学」や「中退」として偽るケースがあります。 学歴詐称の例5:聴講生なのに正規課程で入学したことにする大学の場合は卒業し、学士号を取得することで、初めて学歴に「卒業」と記載できます。 学位取得を目的として、入学・卒業するのではなく、聴講生やオープンカレッジで講義を受講するようなケースは、学歴として認められません。 このような、学位取得を目的としない受講を正規の学歴として偽ることもあります。 学歴詐称の例6:逆学歴詐称学歴詐称は一般に高卒を大卒、あるいは実際よりレベルの高い学校の卒業と偽るなど、高く偽ることが一般的です。 しかし、採用試験に受かりやすくするため、求職時に大卒を高卒と偽り、高卒限定の求人に応募するような「逆学歴詐称」というケースもあります。 実際に、大卒の採用試験に受かることは困難なため、大卒を高卒と偽り、高卒限定の求人で採用された例があります。このケースでは、匿名の通報により、長年勤め上げた水道局員が懲戒免職処分となっています。 とくに、就職難など不況下において、発生しやすい学歴詐称といえます。 学歴詐称は犯罪?関連法をもとに解説学歴詐称だけでは、犯罪にあたらないこともありますが、場合によっては、学歴詐称が次の犯罪に該当する可能性があります。 ここでは、学歴詐称が犯罪に該当するケースを見ていきます。 【学歴詐称が犯罪に該当するケース】私文書偽造罪になる場合詐欺罪になる場合軽犯罪法になる場合順を追って説明します。 私文書偽造罪になる場合文書偽造罪とは、許可なく他人名義を用いて、事実や権利を偽り、証明を偽造することです。 文書偽造罪には、免許証などの公文書を偽造する「公文書偽造罪(刑法第155条)」、卒業証明書などの私文書を偽造する「私文書偽造罪(刑法第159条)」があります。 学歴詐称においては、卒業証明書の偽造が大半でしょう。なお、履歴書上での申告の虚偽は、名義人を偽り証明書を偽造していないため、私文書偽造罪にはあたりません。 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。刑法第155条 - Wikibooks行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。刑法 第159条第1項(私文書偽造等) 詐欺罪になる場合詐欺罪(刑法246条)とは、人を欺いて財物を騙し取るなどの行為です。 法定刑は懲役刑のみであり、「10年以下の懲役」の重い量刑が定められていますが、判決年数が3年未満の場合は執行猶予が付くことがあります。ただし、悪質な場合、初犯でも実刑になることがあるでしょう。金銭搾取の目的で学歴を詐称した場合、罪に問われる可能性があります。学歴詐称以外でも、医師や弁護士などの高度な資格を偽るなどの経歴詐称も対象となります。 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。刑法第246条 - Wikibooks 軽犯罪になる場合軽犯罪(軽犯罪法1条)とは、日常生活の秩序に違反する行為です。学歴詐称に関係する定めとして、軽犯罪法1条15号があり、学位を詐称するようなケースが対象です。学歴以外では、公務員など官公職であると偽るようなことも対象となります。 法定刑は、「拘留又は科料」と定められています。なお、軽犯罪法は、刑罰のなかでは軽い量刑であり、情状によっては「刑の免除」となることもあります。 学歴詐称を事前に見抜く調べ方|どんな時にバレる?学歴詐称の手口はさまざまですが、ここでは学歴詐称を事前に見抜く調べ方を説明します。【学歴詐称を事前に見抜く調べ方】卒業証明書を提出してもらうバックグラウンドチェックを実施するリファレンスチェックを実施する順を追って説明します。 卒業証明書を提出してもらう履歴書の記載だけでなく、卒業証明書を提出してもらいます。新卒で卒業前であれば、卒業見込みとして教育機関から証明書を発行してもらいます。 卒業証明書を提出してもらうことにより、学歴のエビデンスを確認することが可能です。 なお、卒業証明書を偽造される可能性もありますが、この場合は、私文書偽造罪にあたります。卒業証明書の提出をもっても、候補者に疑わしい要素がある場合は、学校機関に在籍を確認するなどが必要でしょう。 バックグラウンドチェックを実施するバックグラウンドチェックは、学歴詐称を見抜く最適な手段といえます。 一般的には、採用企業から候補者へバックグラウンドチェックを実施する旨を同意の下、調査会社に依頼します。ただし、調査会社によっては、コンプライアンス体制が整っておらず、個人情報保護法などの法令に抵触する恐れがあります。「ISO27001」を取得しているなど、コンプライアンス体制が整備された調査会社に依頼することが重要です。 以下の記事では、バックグラウンドチェックのメリットや実施方法について解説しています。バックグラウンドチェック(採用調査・身辺調査)とは?内容や実施方法を解説リファレンスチェックを実施するリファレンスチェックを実施することも、学歴詐称を見抜くための有効な手段です。 上司や同僚など、候補者に近い第三者からヒアリングするリファレンスチェックによって、客観的な判断が可能です。新卒の場合は、友人や教授などがリファレンスチェックのヒアリング対象となります。 一般的には、候補者による同意の下、リファレンスチェックはオンラインサービスや調査会社に依頼します。オンラインサービスでは、「eKYC」といわれるセキュアな本人確認機能により、リファレンスチェックでのなりすましを防ぐことが可能です。 以下の記事では、リファレンスチェックのメリットや実施方法について解説しています。 リファレンスチェックとは?質問内容・メリット・実施方法を解説!学歴詐称が発覚した場合の対処法学歴詐称が発覚しても、日本の法律では雇用を守る観点から、解雇することは容易ではありません。 ここでは、学歴詐称が発覚した場合の対処法を解説します。 【学歴詐称が発覚した場合の対処法】入社前に学歴詐称が発覚した場合|採用は慎重な判断を入社後に学歴詐称が発覚した場合|懲戒解雇になることも順を追って見ていきます。 入社前に学歴詐称が発覚した場合|採用は慎重な判断を入社前に学歴詐称が発覚しても、内定後の場合は、取り消しは極めて困難です。 内定は法律上、「就労始期付解約権留保付労働契約」という労働契約が成立していることから、内定取り消しは解雇と同様の扱いとなります。 内定前であれば、よほど考慮できる事情がない限り、採用を見送ることが望ましいと考えられます。しかし、内定後であれば、法令の解雇制限を踏まえ、慎重に内定取り消しをするか否かを検討する必要があるでしょう。 入社後に学歴詐称が発覚した場合|懲戒解雇になることも入社後に学歴詐称が発覚した場合、就業規則に基づく懲戒処分を検討する必要が生じます。 懲戒処分には減給や出勤停止、懲戒解雇などさまざまな処分がありますが、学歴詐称が直ちに懲戒解雇となるわけではありません。 一般には、懲戒解雇の対象として、重大な経歴詐称の場合と定めています。法的にも、懲戒解雇は重大なものしか認められないため、減給や出勤停止などの処分に留めることがあるでしょう。 経歴詐称の調べ方・見抜き方や対処法についてもっと学びたいという方は以下の記事をご覧ください。皆様の経歴詐称に関する悩みが解決するはずです。 経歴詐称の見抜き方7選|バレる理由や懲戒解雇の可否も解説経歴詐称で解雇・内定取り消しはできる?経歴詐称への対応方法4選経歴詐称・学歴詐称は犯罪?解雇・損害賠償などの対処法と事前に見抜く方法を解説学歴詐称は犯罪?事前に調べる方法や発覚時の対応を解説学歴詐称の調べ方と発覚時の対処法まとめ本記事では、職歴詐称の種類や対処方法について解説しました。 職歴詐称は採用企業が抱える悩みですが、事前に見抜くことも可能ですので、ぜひ本記事を参考にしてください。 最後に、職歴詐称の種類や対処方法をまとめます。 【学歴詐称の調べ方と発覚時の対処法まとめ】リファレンスチェック・バックグラウンドチェックが有効入社前に詐称が発覚した場合は採用を慎重に入社後に詐称が発覚した場合は懲戒解雇に可能性も